【インタビュー】映画『偏向報道』荻野欣士郎監督が明かす制作のきっかけ テレビ報道の現場経験を作品に

テレビ局の内側で「製造」される偏向報道をテーマにした映画だ。
ショービズノートは荻野欣士郎監督に、作品を作った背景などを聞いた。
映画「偏向報道」荻野欣士郎監督にインタビュー
もともと僕は、テレビ朝日の『スーパーJチャンネル』でディレクターをやっていたんです。
普通はADさんから始めて、そこからディレクターに上がっていくと思うんですけど、僕はもともと映画監督をやっていたこともあって、たまたまディレクターとしてポンと入ったんですね。
そこで報道の現場に入って、いろいろとニュースの作り方を教わりました。
「こうやれ」「ああやれ」と先輩たちから言われる中で、自分としては疑問に思うこともあったんです。
一度、上の人に聞いたことがあるんですよ。
そうしたら「放送してしまえばいい」と言われて。
「放送とは放って送るものだから」って。
その言葉にも疑問は持ちました。
でも、実際の現場って本当に時間がないんです。
ひたすらニュースを作って、次のニュースを作って、また次という感じなので、立ち止まって考える時間がどんどんなくなっていくんですね。
僕は子会社の人間だったんですけど、局から言われたものを作り上げていくのが仕事だったので、疑問を持ちながらも、そのまま進んでいってしまいました。
気がついてみると、僕自身が偏向報道をし続けていたんじゃないかと思っています。
ただ、当時は報道部の中ではみんな似たようなことをやっていたと思うんです。
みんなグレーゾーンなんですよ。
他の人もやっているから自分もいいだろう、みたいな考え方で、何が正しいのか、何が間違っているのかをはっきり認識しないままやっていたところがあったと思います。
それで、テレビの仕事を辞めてからですよね。
「あれって間違っていたんじゃないか」と思うようになって。
そこが、この映画を作ろうと思ったきっかけです。
だから『偏向報道』は、僕にとってはかなり反省の意味が強い映画なんです。
マスコミを否定したいわけではないんですよ。
どちらかというと「変わろうよ」と提案しているような感覚です。
この映画を作ろうと思った時に、主役を誰にするかはかなり考えました。
マスコミをテーマにする以上、ある程度強い人じゃないと難しいと思ったんですね。
たぶん、いろいろ言われるだろうし、場合によっては喧嘩を売られるようなこともあるかもしれない。
それを弾き飛ばせるパワーがある人って誰だろうと考えた時に、鳥居みゆきさんしかいないと思ったんです。
鳥居さんって、自分が思っていることをちゃんとやる人なんですよ。
世界禁煙デーの日に、あえてタバコを吸っている姿をInstagramに上げたりするじゃないですか。
そういう、自分の考えを貫くところがすごく合っていると思いました。
実はキャスティングをした時は、まだ脚本がなかったんです。
企画とタイトルだけでした。
「こういう映画をやりたいんです」と伝えたら、鳥居さん自身もバラエティの中で偏った伝えられ方みたいなものを感じていたらしくて、出演してくれることになりました。
それは本当に良かったと思っています。
ただ、ずっと心配だったこともありました。
この映画に出たことで、鳥居さんの仕事に影響が出たら嫌だなと思っていたんです。
なかなか聞けなかったんですけど、ある時、「仕事に影響ありましたか?」って聞いたんですね。
そうしたら鳥居さんが、「自分はこれを正しいと思ってやったんだから、仕事に影響があるとかないとかは関係ない」と言ってくれて。
なんてかっこいいんだろうと思いました。
取材してもらった今日この日が、ちょうど上映88日目だったんです。
最初は正直、ここまでどう広がっていくか具体的なイメージは持っていませんでした。
僕は監督で、今回はプロデュースもしていますけど、「大きく広がればいいな」くらいの感覚だったんですね。
それが実際にはいろいろな人が見てくれて、少しずつ広がっていって、全国で23館くらいまで上映してもらえるようになりました。
それは本当に良かったと思っています。
テレビ局の人も見に来てくれるようになりました。
報道部の人はあまり来ないですけど、他の部署の人が来てくれたり、それこそテレビ朝日の人が見に来てくれたりもしました。
「自分たちも疑問に思っていたことを、こういう形で言ってくれた」と言ってくれた人もいて。
そういう反応を見ると、この映画を作った意味はあったのかなと思っています。
脚本・監督:荻野欣士郎
鳥居みゆき
東さや香
大迫一平
時東ぁみ
郷田ほづみ
小野進也
岬千泰
中島健太
大内智裕
中冨杏子
三枝りな
新井花菜
中野祥
誠直也
螢雪次朗
製作:荻野憲之 長谷部恵子 永堀真山 岸晶子
プロデューサー:阿久根裕行
アソシエイトプロデューサー:石川翔一
撮影:神野誉晃
照明:上田雅晴
録音:地福聖二
美術:金勝浩一
編集:石川貴大
音楽:中西ゆういちろう
テーマ曲:中島卓偉「最後の一人になっても」(For Roots. Co.,Ltd)
製作:偏向報道パートナーズ
制作プロダクション:キネマスタジオ
配給:エクラン
©2026偏向報道パートナーズ2026|日本|カラー|90分映倫|G
公式サイト:henkohodo.com
公式X(監督X):@kinshirou_FD
©2026偏向報道パートナーズ
2026年6月19日(金)より全国順次公開