浅田真央、6歳から高校生までを指導 怒るのではなく「しっかり伝え」生徒たちは試合でメダル獲得

プロフィギュアスケーターの浅田真央が、現在取り組んでいるフィギュアスケートの指導について語った。
指導者としての浅田真央
自身のリンクでは6歳の子供から高校生まで、幅広い年齢の生徒を指導しているという。
現役時代には、妥協せず、できるようになるまで何度も練習を重ねてきた浅田。
そのストイックな姿勢は、指導者となった現在も変わっていない様子。
「私自身、毎日妥協せず、諦めず、できるまでやるということを大切にしています」
ただ、生徒たちに対して厳しい言葉で怒ることはないという。
自分の考えを一方的にぶつけるのではなく、相手に理解してもらえるよう、言葉でしっかりと伝えることを意識している。
「怒るというよりも、しっかり伝えるということを意識して指導しています」
指導者としての浅田について「優しい先生か、厳しい先生か」と尋ねられると、自ら「優しいです」と即答。
生徒ができないことに感情をぶつけるのではなく、どうすればできるようになるのかを一緒に考えている。
現在指導している生徒の中で、最も年齢が低いのは6歳。
最も年齢が高い生徒は高校生で、同じ説明でも年齢によって受け取り方が大きく異なる。
特に幼い子供への指導では、スケートの技術以前に、言葉の意味を説明しなければならないこともある。
「下が6歳なので、まだ日本語が分からないことも多くて、『先生、これって何ていうんですか?』と質問されることがあります。
私が伝えている日本語が、まだ分からない時もあるんです」
大人や年齢の高い選手であれば自然に理解できる言葉でも、6歳の子供には伝わらないことがある。
そのたびに浅田は、「あ、そっか。まだこの言葉は分からないんだ」と気付き、伝え方を変えているという。
技術を教えるだけではなく、それぞれの年齢や成長段階に合わせた言葉を選ぶことも、指導者として求められる役割になっている。
そんな生徒たちは、すでに試合にも出場している。
これまでの指導で達成感を得た出来事を聞かれると、浅田は生徒たちの結果を挙げた。
「生徒たちは今、試合に何回か出ています。みんなメダルを取ったりしているので、そういった意味では、いい結果が出ていると思います」
現役時代の浅田は、リンク上で自分自身の演技や結果と向き合ってきた。
しかし指導者となった現在は、生徒が成長し、試合で力を発揮することが新たな喜びになっている。
一方で、指導を始めてから現役時代とは異なる疲れも感じている。
「今も朝から夜まで、頭も体もフル回転です。
自宅のリンクで指導をして、自宅に戻ってきた時には、現役の時とはまた違った疲れを感じます」
指導中は、自ら体を動かして技を見せるだけでなく、生徒一人一人の動きを確認し、原因を分析し、伝える言葉を考えなければならない。
体だけではなく、頭も使い続ける日々だ。
フィギュアスケートの技は、短い時間で習得できるものばかりではない。
「1秒で身に付けたい技はあるか」と聞かれると、浅田は「1秒で吸収したい技はたくさんあります」としながらも、実際には長い時間が必要だと説明した。
「やはり1秒では、なかなかできるようにならないので、1年、2年かけて習得していく技があります」
数秒で終わるジャンプであっても、完成させるまでには何年もの練習が必要になる。
その難しさを誰よりも知っているからこそ、生徒に対しても、すぐにできることだけを求めるのではなく、諦めずに続ける姿勢を伝えている。
浅田自身も、現役時代にコーチから「本物に触れなさい」と教えられてきた。
技術だけではなく、質の高いものや一流の仕事に触れ、自分の感覚を磨くことを大切にしてきたという。
その教えは、指導者となった今も受け継がれている。
「私の選手時代に、コーチから『本物に触れなさい』と言われてきました。私の生徒にも、本物に触れてもらいたいと思っています」
現在は、選手として自分だけの成功を目指すのではなく、生徒たちがそれぞれの目標へ進めるよう支える立場になった浅田。
年齢も性格も異なる生徒一人一人に向き合い、怒るのではなく、理解できるまで伝える。
試合でメダルを手にする生徒たちの姿は、浅田が指導者として積み重ねてきた時間が、少しずつ形になっていることを示している。
取材・文:中京太一