YOSHIROTTEN、JAXAとの異色コラボの舞台裏を明かす ブラックホールの観測データをアート作品に

アーティストのYOSHIROTTENが29日、都内で行われた「ヨシロットン展 彼方との交信/BEYOND EARTH」のイベントに登壇。
宇宙航空研究開発機構(JAXA)との協力によって生まれた作品の制作秘話を明かした。
YOSHIROTTENの新展覧会
今回の展覧会は、YOSHIROTTENにとって約8年ぶりとなる東京での大規模個展。
宇宙をテーマに、光や音、映像を組み合わせた作品が展示されている。
展覧会の構想についてYOSHIROTTENは、「宇宙とここを交信するような展覧会にしたいって思ったときに、もうJAXAだってなっちゃった」と説明。
JAXAとの接点については、「友人に『JAXAの人とお会いしたいんだけど』って言ったら、いろいろつながって」と振り返り、自身の作品やJAXA側の研究について話し合う中で、協力の可能性が生まれたという。
中でも注目してほしい作品として挙げたのが、ブラックホールの観測データを用いて制作した作品「PUDDLE(パドル)」。
YOSHIROTTENは、もともと可視光線や赤外線、紫外線などのスペクトルデータを作品へと変換する表現に取り組んでいたといい、「それをJAXAの方たちに伝えたところ、『私たちもX線でブラックホールを研究している』という方たちの話があって」と制作の経緯を紹介。
「つるっとした水面にX線のデータ、ブラックホールの波を落として、そこから立ち上がっている波の中に僕が入っていって。そこで『あっ、ここはいいぞ』っていうのをキャプチャーしてできました」と、科学的なデータをアートへと昇華させる独自の制作手法を語った。
また、会場には1970年に日本初の人工衛星「おおすみ」を打ち上げた際に使用された管制卓も展示されている。
YOSHIROTTENは、実物の管制卓に光の演出を加えることで、宇宙から届く光を感じられる作品に仕上げたことを説明した。
作品に込めた思いについては、星々の誕生や超新星爆発、ブラックホールの形成など、宇宙で起きる現象と人間の営みとの共通点にも言及。
「いろんな星の出会いや別れを経て、新たな星が生まれたり、ブラックホールができたり。その誕生する前のドラマっていうのを描いていて、人間の出会いや別れ、人とのつながりとも通じているんじゃないかな」と話した。
そして、「そう思いながら作品を見ると、とても遠い世界の話じゃないように感じると思う」と、宇宙を身近に感じてもらいたいという願いを明かした。
さらに、自身の創作活動について、「僕は伝えていくこと、ナビゲーターみたいな立ち位置で、宇宙のことや地球のことを僕なりに伝えていきたい。それがこの活動の一番根本になりますね」と語った。
展覧会では、時間帯によって自然光や東京の街並みが変化し、作品の見え方も変わるという。
「夕日がワーッと入ってきて、オレンジ色に染まるんですよ。またそれが作品に反射して、この空間を光でいろんなところに照らしていく」と見どころを説明。
「夜はこの街がオレンジ色の光の粒みたいになって、東京の空から宇宙へずっと広がっていくような体験ができると思います」と期待を込めた。
最後には、「ここはもう生き物のように常に変化していく。外を見たり、外からやってくる光を見つけたり。本当に何時間も何日も、行ったり来たりしてもらいたいですね」と来場を呼びかけた。
取材・文:中京太一