【インタビュー】映画『焼け石と雨粒』主演の佐野弘樹 撮影した6年前から現在までの新たな「気付き」

2026年4月11日にポレポレ東中野で公開される映画『焼け石と雨粒』は、母親との密接な関係の中で生きてきた青年・氏田晶が、外の世界との接触によって心のバランスを崩しながらも、自分の存在や関係性を見つめ直していく物語だ。

閉鎖的な環境から一歩踏み出したときに生まれる葛藤や不安、そして人とのつながりの複雑さが描かれている。

佐野弘樹が6年で感じた変化

ショービズノートは今回、氏田晶を演じた俳優の佐野弘樹にインタビューを実施した。

撮影現場で印象に残っている出来事のひとつが、ロケ地でのトラブル。

フィットネスクラブとネットカフェが一体となった施設での撮影時、入館に身分証明書が必要だったが、母親役の俳優にその連絡が伝わっておらず、撮影が2〜3時間遅れる事態に。

こうした予期せぬ出来事に直面したことは印象的だったと振り返った。

また、作品の中で特に印象的だったセリフが、終盤の母親との車内シーンでの「こんなので僕、いいのかな」という一言だという。

「撮影中も完成した映画を見ても、ドキッとくるようなセリフというか…。すごく切ないというか複雑な感情になりましたね」

撮影した6年前の自分と現在を比べて、演技の本質的な部分は「変わっていない」と佐野は語る。

一方で、現場での経験を重ねる中で、細かな部分への気づきは確実に増えた。

例えば、同じシーンを繰り返し撮影する際の動きや配置、セリフと行動のつながりなど、これまで意識していなかった要素に目が向くようになったという。

ただし、その“気づけるようになったこと”が、時には芝居への集中を妨げることもあるそう。

成長によって得た視点と、それに伴う難しさの両面を実感している。

そして完成した作品を改めて観たとき、当時の自分にしか出せない「危うさ」や「みずみずしさ」を強く感じたという。

それは外見だけでなく、芝居の中の存在感として確かに映っていた。

今の自分ではもう再現できないかもしれない感覚が刻まれている点で、この作品は特別な意味を持つ一本となっている。

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