【インタビュー】整形後のあざや腫れはどう変わる? AMAZING JIROが明かす『ダウンタイム』特殊メイクの裏側(3)

美容整形後、時間の経過とともに変化していく顔の腫れや内出血、傷の赤み。
作品『ダウンタイム』では、手術直後から回復に向かうまでの顔の変化も、特殊メイクによって表現されている。
その制作を担当したAMAZING JIROは、実際の症例資料と作中の経過日数を照らし合わせ、監督や医療監修と調整を重ねたという。
インタビューでは、ダウンタイムの変化を再現するうえで重視したことや、テストメイクでの調整について話を聞いた。
何日後の顔なのかを資料と照らし合わせて制作
今回、ダウンタイムの特殊メイクに関しては、基本的に実際の資料を参考にして作りました。
時間が経過することによって、どういうふうにあざができて、傷の赤みが少しずつ引いていくのか。
そういった変化が、しっかり資料としてあったんですよ。
だから、僕らが一から想像して設定を作ったというよりは、実際の経過を参考にしながら再現していくという感じでした。
例えば、内出血の部分についても、手術から何日経過している場面なのか、次のシーンが何日後の設定なのかということは、台本などから分かっていました。
なので、実際の症例資料と作中の経過日数を照らし合わせながら、その日の顔の状態を考えて作っていましたね。
今回は、割とリアルにいこうという感じでした。
あざの濃さや赤みは監督・医療監修と調整
ただ、僕らには医療的な知見があるわけではないので、個人差まで細かく判断していたわけではありません。
例えば「この人の皮膚だったら、もっと腫れるね」とか、そこまでの判断はしていないんです。
そういうことは、僕らには分からないですからね。
ただ、映像として表現するときには、「もうちょっとここはあざが強く残っていた方がいいんじゃないか」とか、「赤みがまだ引いていない方がいいんじゃないか」という調整はありました。
テストメイクの段階で、監督や高須クリニックさんの監修にも見ていただきながら、そういった部分を調整していきました。
僕らだけの感覚で作るのではなくて、実際の資料を見て、それを基準にしながら進めていたんです。
見た目のインパクトより実際の症例に近づけることを重視
今回、作品全体を通して大切にしていたのは、やっぱりリアルに見えることでした。
例えば、ファンタジー作品やモンスターが登場するような作品であれば、現実にはない表現を加えることもあります。
でも、今回は美容整形をテーマにした、現実にある話なんですよね。
だから、特殊メイクとして何かを派手に見せるというより、できるだけ実際の症例に近いものを作りたいと思っていました。
実際に美容整形を経験した方が見たときに、「確かにこういう感じだった」と思ってもらえるもの。
あるいは、美容クリニックで働いている方が見たときにも、リアルだと感じてもらえるもの。
そういったところを目標にして制作していましたね。
もちろん、映像として成立させるための調整はあります。
ただ、その調整も、基本的には実際の資料から大きく離れない範囲で考えていました。
腫れた顔を見て美容整形への印象が変わることも
ダウンタイムの特殊メイクを見た方からは、「痛そう」という反応が普通にありました。
実際に手術をしているわけではないので、メイクをしている俳優さんが本当に痛い思いをしているわけではないんですけど、見た目としてはそう感じるんですよね。
特に、腫れた目の特殊メイクなどを生で見ると、やっぱり印象に残ると思います。
撮影現場でも、そういう顔を見て「実際にそんなふうになるんだったら、ちょっと美容整形が怖いね」という反応はあったと思います。
これから美容整形を受けようと思っている人が、ダウンタイム中の顔の変化を見て、少し考えるということもあるのかなと思います。
ただ、今回僕らがやっていたのは、美容整形を怖く見せようということではありません。
あくまでも、実際に起こる変化をなるべくリアルに再現することが目標だったんです。
画面を通して伝わるリアルさ
特殊メイクって、実際に目の前で見るのと、映像になってから見るのとでは、結構印象が違うんですよ。
今回も、カメラを通した方がよく見えたり、細かい部分が鮮明に見えたりすることがありました。
逆に、生で見たときにはかなり生々しかった部分が、映像になると少し印象が柔らかくなることもあります。
撮影した映像には編集や色の調整も入っているので、実際に僕らが作ったものが、そのままの見え方で映るわけではないんですよね。
でも、今回はそういった映像としての仕上がりも含めて、視聴者の方にとってプラスになったんじゃないかなと思います。
特殊メイクとしては、資料を参考に一つひとつの変化を再現していく。
そして、最終的には映像を見た方に、それが自然に伝わることが大切だと思っています。
取材・文:中京太一