【インタビュー】AMAZING JIROが明かす『ダウンタイム』特殊メイクの裏側(1) 研ナオコの顔を変えるために十数個のパーツ、完成まで約4時間

美容整形をテーマにした作品『ダウンタイム』で、俳優たちの整形前後の顔を表現する特殊メイクを担当したAMAZING JIRO。
鼻や唇の形を変えながらも、俳優本人の表情を自然に残すため、どのような工夫を重ねたのか。
ショービズノートはAMAZING JIROにインタビューを実施。
今回は、整形後の顔から逆算するという制作方法や、研ナオコの特殊メイクに約4時間を要した舞台裏などについて聞いた。
整形後の顔から逆算してビフォーを作った
撮影のだいぶ前の段階で、プロデューサーから「美容整形をテーマにした作品を作るから、そこでいっぱい特殊メイクが必要になる」というお話をいただきました。
その時点ではまだキャストも決まっていなかったんですけど、撮影期間に特殊メイクの対応ができるかという相談が先に来たんですね。
今回の特殊メイクは、基本的にアフターから考えました。
美容整形で流行っている目や鼻、口の形をいろいろ研究して、横から見たときのEラインというものを大切にしながら、まず整形後の顔を考えていきました。
ビフォーに関しては、そのアフターと真逆というか、アフターでやったことの反対側にしたかったんです。
例えば、鼻を高く細くしたのであれば、ビフォーでは低く丸く見えるようにする。唇をちょっと厚くしたのであれば、なるべく薄く見えるようにする。そういう考え方ですね。
ただ、僕らが自分の判断で「美しい」「醜い」と決めることはできないので、ブサイクにしようという感覚は全くありませんでした。
どちらかというと、今の若い方たちが美容整形で目指している流行りの顔をアフターとして考えて、それに対応した逆の顔をビフォーにするということです。
ドラマの台本には、どういう手術をして、どのように顔が変わったのかが描かれていました。
監督や監修の高須クリニックさんとも相談して、どの手術を行うかは先に決まっていたので、それによって変わる顔を僕らが想像して作っていきました。
高い鼻を低く見せるために考えた視覚的な工夫
特殊メイクって、基本的には顔に何かを足すことしかできないんですよ。
例えば、もともと高い鼻を低く見せたい場合、鼻自体を低くすることはできませんよね。
そこで、鼻の鋭さを柔らげて、丸い形にするんです。そうすると、視覚的に低く見えるんですよね。
顔のパーツって、鋭角に形が上がっていくと高く見えるんですけど、そこをなだらかにしてあげることで、低く見える効果を狙いました。
今回、基本的には顔のパーツを部分的に変えています。
研ナオコさんのアフターは比較的多くのパーツを貼りましたけど、ほかの俳優さんに関しては、本人の顔のほとんどの部分を残しています。
全体を大きく変えるというより、部分的に変えることで、本人らしさを残しながら整形した顔に見せることを大切にしました。
実際の美容整形の術例を見ながら制作していましたね。
表情を妨げないシリコン素材を使用
僕ら特殊メイクの仕事では、普段からメイクをした状態でも自然に表情が動くように考えています。
今回、特別に新しい技術を使ったというわけではないんですけど、基本的にシリコンは肌にかなり近い柔らかさを持った素材なので、それを使っていました。
なるべく最低限の範囲で顔の形を変えるパーツを作って、貼り付けるという方法です。
シリコン自体が柔らかいので、俳優さんの表情を妨げることはなかったと思います。
今回は、俳優さんたちから顔の形について何か要望が出ることもなかったですね。
例えば、老けた顔を表現する特殊メイクだと、その人物がどういう人生経験をしてきたかによって老け方が変わってきます。
そうすると「こうじゃない」「ああじゃない」という意見が出ることもあるんです。
でも、今回は美容整形によって顔の形が変わるというものだったので、特に誰かからNGが出たり、意見をいただいたりすることはありませんでした。
意外と皆さんすんなり受け入れてくれたんですよ。
むしろ、自然に顔に馴染んでいることに興味津々だったり、その顔で撮影現場に行ったときの周りの反応を楽しんでくれたりしたように思います。
研ナオコの特殊メイクは十数個のパーツを使用
今回、一番大変だったのは、やっぱり研ナオコさんですね。
ほかの俳優さんは変える範囲がそれぞれ違うので、単純に比較することはできないんですけど、研ナオコさんはパーツの数も多かったですし、一番大きく顔の形状を変えなければいけませんでした。
かなり挑戦ではあったんですけど、結果として一番うまくいったという実感があります。
具体的には、まず顔を引き上げるために医療用のテープを使っています。
左右合わせて6カ所くらいを引き上げていたと思いますね。
それに加えて、テープを隠しながら皮膚の質感を若返らせるためのパーツが4つくらい。
さらに鼻の形を変えるものや、目の上のたるみを消すためのものなどもあります。
全部合わせると、テープも含めて十数個のパーツになったんじゃないでしょうか。
研ナオコさんのアフターに関しては、僕らが整形メイクを作った後にビューティーメイクも入っていたので、トータルで4時間くらいかかったと思います。
ほかの俳優さんの場合はパーツの数によりますけど、1パーツくらいだったら1時間程度ですね。もっと短い時間で終わる場合もありました。
100個以上のパーツを用意 同じものは使い回せない
今回、特殊メイクを担当したのは13人くらいだったと思います。
特殊メイクのパーツって、一度使ったら捨てなければいけないんですよ。
だから、次の撮影で同じ顔を作るときも、毎回新しいパーツを複製して、また一からメイクをする必要があります。
研ナオコさんはテストも含めると4、5回くらいメイクをしているので、それだけで50パーツくらいは作っているんじゃないですかね。
全体では、複製も含めて100パーツ以上は用意したと思います。
視聴者からは整形前に試してみたいという声も
配信が始まってから、SNSで「やってみたい」というメッセージが届いたんですよ。
視聴者の方から「特殊メイクで1回整形してみたい」というDMが来ていました。
実際に美容整形する前に、一度シミュレーションしてみたいという人は少なからずいると思うんです。
顔の形を変えてみて、その状態で周りの人がどういう反応をするのかを知りたい、ということですね。
ただ、僕らがそういった依頼に対応できるかというと、ちょっと難しいと思います。
でも、今後そういった需要が高まっていけば、特殊メイクによる整形シミュレーションが、一つの仕事になっていく可能性もあるのかなと思いますね。