角川春樹総監督、「AIには命も魂もない」 『星の教室』で掲げた「AIとの戦い」

映画『星の教室』の完成披露舞台挨拶が2026年10月6日に行われ、角川春樹総監督が登壇した。
『星の教室』の角川春樹総監督
角川総監督は、角川映画が50年を迎えたことに触れながら、自身が歩んできた映画人生を振り返った。
これまでアニメーションを含め、数多くの作品を生み出してきた。
その中でも、自身が代表作と考える映画は限られているという。
市川崑監督の『犬神家の一族』、大林宣彦監督の『時をかける少女』など、自身の映画人生を象徴する作品を振り返った上で、今回の中川龍太郎監督による『星の教室』について、それらの代表作と比べても遜色がないとの評価を示した。
かつて代表作をともに作った監督たちは、すでに亡くなっている。
その中で、新たに中川監督と出会ったことへの期待も口にした。
角川総監督は舞台上で、人生には「本との出会い」「人との出会い」「自然との出会い」があるという、親交のあった人物の言葉を紹介した。
今回、『星の教室』を作るに当たって掲げたテーマの一つが「AIとの戦い」だった。
生成AIをはじめとする技術の進化によって、映像やコミックを作る方法は大きく変わりつつある。
角川総監督は、すでにAIを使った制作がビジネスとして成立し、従来よりもはるかに低いコストで作品を生み出すことが可能になっている現状に触れた。
その時代に、人間が映画を作る意味はどこにあるのか。
角川総監督が出した答えが、「魂を込めること」だったという。
AIには命も魂もない。
だからこそ、人間が作る映画には魂を込めなければならない。
その考えをスタッフに伝え、本作の制作に臨んだという。
『星の教室』の撮影期間は約3週間。
決して余裕のあるスケジュールではなく、スタッフにとっても負担の大きい現場だったという。
しかし完成した作品を見た関係者が何度も涙を流し、試写では感動のあまりすぐに立ち上がれない観客の姿もあった。
角川総監督は、それこそが魂を込めて作った作品であることの証明ではないかと考えた。
また、映画を見て感動した人には、その思いを自身のSNSで発信してほしいとも呼びかけた。
その言葉を舞台上で聞いていた中川監督は、高校時代に『犬神家の一族』を見たことが映画の世界へ入るきっかけになったと明かした。
取材・文:中京太一